紅月さんの創作場

バドミントン小説「FlyUp!」完結済。次回作開始時期は未定。
超長編を毎日ちまちまと書いていく創作日記です。

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2014.08.27 Wednesday
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    その1821

    2012.06.21 Thursday 21:15
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       姫川は一瞬頭を落としたことでその急激な変化に驚き、目を覚ました。自分が寝ていたと気づくのはさらに数秒後。少しの間フリーズしてから周囲を見回すと、呆気にとられた藤田と清水の顔が見えた。口元を伝う涎の感触があったため左手でふき取ると清水がティッシュを差し出してきた。

      「ありがと、しーちゃん。女子力あるぅ」
      「女子力って」

       苦笑する藤田の返答を聞く前に、自分の声が掠れているのが聞こえてきた。完全に寝起きの声になっていて、自分が想像以上に深く寝ていたのだなと自覚すると背筋を思い切り伸ばして唸った。気だるさは体にまとわりついたまま離れないが、一度眠ったことによって脳は少しだけ覚めて、眠気はどこかにいなくなった。
       藤田が呆れ顔で問いかけてくる。

      「大丈夫? だいぶ疲れてるんだろうし。もう寝たら?」
      「いやー。せっかく試合も終わって後は帰るだけーなんだから。もう少し女子トークしたいでしょ」
      「お菓子食べながらバドミントンの話しかしてなかったけど」

       藤田はそう言ってスティック状で周りにチョコがついているお菓子を口に入れる。ポリポリと食べつつ次に手を伸ばしたものの、袋の中には何もなくなり、袋を綺麗に畳んで箱の中に詰めてからゴミ箱へと捨てた。

      「お菓子も残ってないし。そろそろお開きにしない? 私も眠くなってきた」
      「あそこまでギリギリ試合したの一回しかなかったのに」

       清水も藤田もあくびを手で隠しつつ呟く。その一回の試合が南北海道の明暗を分けたと言っても過言ではないため、姫川は満面の笑みで二人に言う。

      「それだけ集中して、頑張ったからだよ! 二人のおかげで南北海道が優勝できたんだから誇って良いよ」
      「できすぎだったけど……ほっとしたよね」

       清水はペットボトルのお茶を一口飲み、言葉通りほっと息を吐く。藤田も同じようにお茶を飲んだが表情は暗い。姫川がどうしたんだと目で問いかけると体をぶるりと震わせた。

      「あの時は必死というか、考える余裕なかったんだけど。振り返ると、よく勝てたなってゾッとする。十回やったら絶対九回負けてるよね」
      「でも一回を引き当てたんだからいいんだって。余計なこと考えず勝つことだけ考えればいいって照明されたじゃん。ダブルスって凄いと思う。一人だと勝てない相手にも二人なら勝てるんだからさ」

       テンションが再び上がる姫川は言葉の外で二人の実力を冷静に氷解しているようだった。藤田も清水も姫川の歯に衣を着せぬ性分は分かっているため苦笑いするしかない。それに、どれだけ良い結果を出せたとしても、自分達の力が足りないのは事実だ。全国大会で一勝できたことが自分達の格段の成長に繋がった、とは考えはしない。

      「私。シングルスしかやったことなかったけど、このチームでまゆまゆとダブルスやって、凄く面白かったな。中学でも両方に出られれば楽しいのに。って、まゆまゆとは学校違うか」
      「まゆま……。瀬名とのダブルスはバランス良かったよね」

       藤田の言葉に姫川が頷き、続けて清水が解説のように言葉を連ねる。

      「姫川が拾って瀬名が打つって連携凄くはまってたし。外から見てて一番かっこよかったよ」
      「えーほんと! そっかー。あーもう、まゆりっちと同じ学校ならいいのに」
      FlyUp! | - | - | - | - |

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      2014.08.27 Wednesday 21:15
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