紅月さんの創作場

バドミントン小説「FlyUp!」完結済。次回作開始時期は未定。
超長編を毎日ちまちまと書いていく創作日記です。

スポンサーサイト

2014.08.27 Wednesday
0

    一定期間更新がないため広告を表示しています

    - | - | - | - | - |

    その1824

    2012.06.21 Thursday 21:46
    0
       数度どもってしまってから何とか返答し、咳払いをする。早坂はかすかに笑みを浮かべながら小島の方を見て、優しい光を宿した瞳を向けてくる。
       早坂の様子にようやく小島はいつもの自分を取り戻す。徐々に落ち着いてくる鼓動の途中で、問いかけた。

      「……やっぱりそっちも疲れたか?」

       今の早坂はいつものオーラのようなものが全くなかった。普段はリラックスして瀬名や姫川と話していてもどこか気を張って隙がない。しかし、今の早坂はそうした精神的な防御がまったくなくなっているように小島には思える。相当疲れているのかもしれない。そこまで考えて、呼び出したことを謝った。

      「すまん。お前の方が疲れてるのに。俺のわがままで」
      「いいよ。だって、私も小島と話したかったもの」

       視線だけではなく言葉までも柔らかい。バドミントン選手として凛々しくコートに立つ様を知っているだけに、今の早坂とのギャップに心臓が一瞬で最高潮に達する。小島は乾いてきた喉を何とか唾で潤して、潤しきれなかった分は咳払いで何とか凌ぐ。

      (今の早坂……近い。今なら、言える)

       深呼吸を三回してから、小島は思いの丈を早坂へと告げていた。

      「早坂。やっぱりお前のことが、好きだ。俺と付き合ってくれ!」
      「うん。いいよ。ありがとう」
      「え、あ。っはい」

       渾身の告白にあまりにもあっさりと答えた早坂。小島は返事を受けて言葉を返したものの、完全に思考停止していた。一瞬のフリーズから再起動。そして今のやりとりを反芻する。自分の告白の言葉を聞いて早坂は「いいよ」と言った。つまり、付き合ってもいいということになる。

      「い、いいの?」
      「? いいけど。何かダメだった?」
      「いや、ダメってわけじゃなくてな。正直、断られるかと思ってた」

       本当ならば、浅川亮に勝って、堂々と告白するつもりだった。そうした目標を持つことで全力の更に上の力を出し切れると信じた。実際に、決勝は自分の持てる力以上のものが出せたと思う。それでも破れてしまった。
       支えを得るためにということではないが、自分が心底好きな人と心が通じ合い、応援してもらえれば自分はもっと強くなるのではないかと思ったのだ。自分が一時期、実業団で活躍する選手のコピーから強くなったように。コピーをするのは即ち、その相手を好きな気持ちが強いかどうか。自分にとって人を好きになること。人から好かれることは自分を高める上で必要だ。
       いろいろと説明しようとまとめてきたものが、全て頭の中から消え去り、結果として言う必要が全くなくなったという現実にまだ頭が対応していない。早坂は全て分かったわけではないだろうが、小島が落ち着くまで笑みを浮かべたまま待っていた。

      「正直、断られると思ってた」
      「なんで? 小島は、かっこいいし。やっぱり好きって言われたら嬉しいよ。私も、気になってたし」
      「そう言ってくれると嬉しいが……お前は、相沢のことが好きなのかと思ってさ」
      「そうだね。好きだった」
      FlyUp! | - | - | - | - |

      スポンサーサイト

      2014.08.27 Wednesday 21:46
      0
        - | - | - | - | - |