紅月さんの創作場

バドミントン小説「FlyUp!」完結済。次回作開始時期は未定。
超長編を毎日ちまちまと書いていく創作日記です。

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2014.08.27 Wednesday
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    その1827

    2012.06.22 Friday 22:09
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      「ほんとすげーよお前ら。多分、高校の先輩達よりも強いんじゃないか」
      「そこまでは分かりませんが……負けない自信はあります」
      「言うようになったなぁ、相沢! その意気だ!」

       武の言葉に金田は背中を叩いて喜び、笠井も笑顔を浮かべている。二人とも後輩にほとんど相手にされずに負けることよりも成長が嬉しいのだろう。無論、悔しさがないわけではないだろうが、成長を二人とも諦めていない。

      「お前ら。気合い入れて浅葉中の名前を全国まで知らしめてやれよ。で、高校はうちらのところな。」
      「全国優勝経験あるような奴らが入ってくれるとこっちとしても大助かりだ」

       二人とも同じ私立の高校へと進む。野球やレスリングなどスポーツのほうに力を注いでいて、近年ではバドミントンも北海道での絶対的王者、札幌光明に一矢報いるところまで来ている。武達の先輩で言えば、一年の時の三年、桜庭克己が入り、今年は金田と笠井の二人。他の先輩達も各々高校に進んでいた。

      「俺らは、まだ進路は分かりませんよ。ひとまず、自分達の試合をするだけです」

       武が困っていると吉田が横から口を出した。金田は「早めにきめといたほうがいいぞ」と言ってその場を離れる。水を飲みに行くためにか、体育館の外まで出て行った。ほっとして武も壁際に歩いていき、置いてあるラケットバッグから飲み物を取りだした。同時にラケットを見てガットが切れていることに気づく。

      「あー。林か橋本。はさみ持ってない?」
      「俺があるわ」

       そう言って林がはさみをた毛氏に手渡す。武は礼を言ってガットを縦と横に切り裂き、ガットをラケットから取り去った。ふと考えて、そのガットが三月終わりの全国大会の前にわざと切って貼り直したことを思い出す。二週間で寿命を遣いきったのだと分かってため息をついた。

      「改めて、凄かったんだな」
      「お、ガット切れたか。でもヨネックスオープンとかだと一日で何十人も切れるらしいから、会場にガット張る仕事の人がいるみたいだぞ」
      「マジ?」

       横にきた吉田が武のラケットを見て言う。思わぬ情報に武は感嘆のため息を漏らした。一回、二回の試合でガットが切れるというのはどういう使い方をしているのだろうか。それほどまでに強烈なスマッシュを何十回も、下手したら百回以上打っているのだろうか。想像だけでお腹が膨れる。

      「多分、実業団の人は張りのテンションが強いんだよ。だから強烈なショットを打てる反面、切れやすくなるんじゃないかな」
      「なるほどなぁ」
      「切れづらいガットも開発されてきてるらしいけどな」

       吉田の講義が終えた所で、庄司が両手を打ち鳴らして練習の終わりを告げる。シャトルがラケットの間を飛び交う音が止まり、庄司へと視線が集中する。ステージの上に上がった庄司は、一度咳払いをしてから全員に聞こえるような声で言った。
      FlyUp! | - | - | - | - |

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      2014.08.27 Wednesday 22:09
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